2014年3月26日水曜日

Japan National Istitute of Infectious Deseases

感染症発生動向調査週報ダウンロード2014年 

 http://www.nih.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2014.html

 2014年第10週(第10号)

JAPAN Infectious Deseases Weekly Report

 http://www0.nih.go.jp/niid/idsc/idwr/IDWR2014/idwr2014-10.pdf

 

 








 定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
cpeg
インフルエンザ:定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別の上位3位は宮城県(38.99)、福井県(38.94)、岩手県(37.86)である。基幹定点からのインフルエンザ入院サーベイランスにおける報告数は615例と前週と比較して減少した。都道府県別では47都道府県から報告があり、年齢別では0歳(36例)、1~9歳(220例)、10代(45例)、20代(7例)、30代(17例)、40代(19例)、50代(26例)、60代(54例)、70代(91例)、80歳以上(100例)であった。

 ●鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況について(更新28)
2014年3月7日 WHO(GAR)
3月7日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、中国の香港特別行政区
衛生防護センター(CHP)は、3月4日、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染したと確定され
た患者が1人発生したとWHOに報告しました。
患者は18カ月の女児。軽度の発熱症状で2月28日医師の診察を受けました。3月1日病院に入
院し、3月3日軽快退院となりました。3月4日鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染したことが
確定し、別の病院に入院しました。現在の容態は、発熱もなく無症状です。
初期の疫学調査によると、この患者は2月5日から2月27日まで広東省仏山市を旅行し、母親と
ウエットマーケット(生鮮市場)を訪れていることが明らかになりました。この患者の旅行歴や接触
歴について、全ての濃厚接触者の追跡も含め、さらなる調査を行っています。
全体的なリスク評価は変わっていません。
中国から香港に輸入された生きた家きんから鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが検出され
たと報告されており、生きた家きんからウイルスの感染が広がる可能性はありますが、現時点で
は、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが国際的に広がってはいません。しかし、家きんでは、
ウイルスに感染しても症状が出ないため、継続的な監視が必要です。
これまでに鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染した患者が報告された地域及びその近
隣の地域では、今後も患者が散発的に発生することが予想されます。
感染が起こっている国からの感染者が、他の国に滞在中または到着後に発見される場合が
ありますが、人の間でウイルスが容易に感染するものではないので、患者が発見された場合でも
地域レベルで感染が広がる可能性は低いです。ウイルスが効率的に人から人へと感染する能力
を獲得するまでは、渡航者によってH7N9が国際的に広がる危険性は低いままです。
WHOは、鳥インフルエンザが発生している国への渡航者に対し、農場への立ち入りや、生き
た家きんのいる市場での動物との接触、家きんをと殺する場所への立ち入り、家きんやその他
の動物の排泄物で汚染されていると考えられる地表との接触を避けるよう助言しています。また、
渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣を遵守すべきです。
WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限するこ
とを推奨していません。
鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航している者や、その地域から帰国した者が重症の
急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザへの感染を考慮すべきです。
WHOは、重症急性呼吸器感染症のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの
強化を継続するよう求めています。また、国際保健規則に基づき、人の感染例の報告を確実に
行うために、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討し、国の保健に関連した事前計
画の実行を継続するよう求めています。

●鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況について(更新29)
2014年3月5日 WHO(GAR)
3月10日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、中国の国家衛生・計画
出産委員会は、3月5日と3月6日、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染したと確定された患
者が4人発生したとWHOに報告しました。
3月5日に報告された患者の詳細は以下の通りです。
・山東省泰安市出身で、現在は江蘇省無錫市に住む59歳の男性。2月25日に発症し、3月3日
に病院に入院しました。現在の容態は重篤です。
・江蘇省徐州市の36歳の男性。2月28日に発症し、3月2日に病院に入院しました。現在の容
態は重篤です。この患者は家きんとの接触歴がありました。
・広東省広州市の75歳の男性。2月19日に発症し、2月26日に病院に入院しましたが、3月1日
に死亡しました。
3月6日に報告された患者の詳細は以下の通りです。
・広東省湛江市出身で、現在は仏山市に住む39歳の男性。2月27日に発症し、3月4日に病院
に入院しました。現在の容態は重症です。
中国政府は、サーベイランス及び状況分析の強化、患者管理と治療の強化、市民とのリスク
コミュニケーションや情報提供の実施といった対策を行っています。
全体的なリスク評価は変わっていません。
中国から香港に輸入された生きた家きんから鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが検出され
たと報告されており、生きた家きんからウイルスの感染が広がる可能性はありますが、現時点で
は、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが国際的に広がってはいません。しかし、家きんでは、
ウイルスに感染しても症状が出ないため、継続的な監視が必要です。
これまでに鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染した患者が報告された地域及びその近
隣の地域では、今後も患者が散発的に発生することが予想されます。
感染が起こっている国からの感染者が、他の国に滞在中または到着後に発見される場合が
ありますが、人の間でウイルスが容易に感染するものではないので、患者が発見された場合でも
地域レベルで感染が広がる可能性は低いです。ウイルスが効率的に人から人へと感染する能力
を獲得するまでは、渡航者によってH7N9が国際的に広がる危険性は低いままです。
WHOは、鳥インフルエンザが発生している国への渡航者に対し、農場への立ち入りや、生き
た家きんのいる市場での動物との接触、家きんをと殺する場所への立ち入り、家きんやその他
の動物の排泄物で汚染されていると考えられる地表との接触を避けるよう助言しています。また、
渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣を遵守すべきです。
WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限するこ
とを推奨していません。
鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航している者や、その地域から帰国した者が重症の
急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザへの感染を考慮すべきです。
WHOは、重症急性呼吸器感染症のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの
強化を継続するよう求めています。また、国際保健規則に基づき、人の感染例の報告を確実に
行うために、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討し、国の保健に関連した事前計
画の実行を継続するよう求めています。
●世界におけるインフルエンザの流行状況について(更新4)
2014年3月10日 WHO
【要約】
・北米におけるインフルエンザの活動性は、全体的に減少し続けましたが、依然として高い水準
にある地域があります。インフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でしたが、全地域でインフルエ
ンザB型の検出が若干増加しました。
・ヨーロッパでは、インフルエンザの活動性は国によって異なりました。活動性の全体的な傾向
は、北部と東部で若干増加し、南西部で減少しました。インフルエンザA(H1N1)pdm09とイ
ンフルエンザA(H3N2)が伝播し続けましたが、優勢な亜型は国によって異なりました。
・東アジアでは、依然としてインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でしたが、傾向は国によって
異なりました。中国におけるインフルエンザの活動性は減少し始めましたが、モンゴルにおけ
る活動性は増加し続けました。
・アジアの熱帯地域では、インフルエンザの活動性は全体的に減少しましたが、タイではインフ
ルエンザA(H1N1)pdm09の活動性が増加したと報告されました。
・北アフリカと西アジアでは、インフルエンザの活動性は国によって異なり、エジプトでは、依然
としてインフルエンザA(H1N1)pdm09が高い水準であったと報告されています。
・FluNe(t 3月4日時点)によれば、第7週から第8週(2014年2月9日から2月22日)の間、80の国・地
域にある国のインフルエンザ・センターやその他の国内のインフルエンザ研究施設からデータ
割合も増加したと報告されました。その他の国におけるインフルエンザの活動性は依然として低
い水準でした。
・東アジア
東アジアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザ
B型ウイルスがともに伝播したものの、依然としてインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスが優勢
でした。中国では、北部、南部ともにインフルエンザの活動性は減少しました。香港では、インフ
ルエンザの活動性は依然として高い水準が続いたと報告されました。モンゴルでは、依然として
インフルエンザA(H1N1)pdm09の活動性が高い水準であり、ILIと肺炎の患者数も増加したと報
告されました。韓国では、インフルエンザの活動性は増加し続けており、インフルエンザA(H1N1)
pdm09、A(H3N2)、インフルエンザB型ウイルスが同じような割合で検出されました。日本では、
インフルエンザの活動性は減少しました。
【熱帯地域】
・アメリカ大陸の熱帯地域
カリブ海諸国、中米、南米の熱帯地域におけるインフルエンザの活動性は、全体として低い水
準でした。
・中部アフリカの熱帯地域
アフリカ地域では、インフルエンザの活動性は全体的に低い水準でしたが、マダガスカルでは、
インフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出数が増加したと報告され、ガーナでは、インフルエンザ
B型の活動性が継続して報告されました。
・アジアの熱帯地域
東南アジア諸国におけるインフルエンザの活動性は全体的に低い水準でした。タイでは、ILI
の患者数とインフルエンザA(H1N1)pdm09の活動性が増加したと報告されました。
【南半球の温帯地域】
南半球におけるILIの活動性は、依然として低い水準が続いており、インフルエンザA(H1N1)
pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB型ウイルスが散発的に検出されました。
●中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況について(更新6)
2014年3月11日 WHO(GAR)
3月11日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、サウジアラビアの保健省
は、2月20日、MERS(マーズ)コロナウイルスに感染した確定患者が新たに2人発生したと公表し
ました。
報告された患者の詳細は以下の通りです。
・アル・アフサ(Al-Ahsa)の58歳の男性。2月2日に発症し、2月4日に病院に入院しましたが、回
復し、2月24日に退院しました。この患者には複数の慢性疾患があり、動物との接触歴が
あったと報告されています。
・リヤドの81歳の女性。複数の基礎疾患(持病)があり、2月2日に病院に入院し、2月5日に
MERSの症状が現れました。この患者は2月8日に死亡しました。この患者は、発症前の動物
との接触歴は報告されていません。
全体として、2012年9月からこれまでに、WHOに報告されたMERSコロナウイルスに感染したと
確定された患者は186人で、このうち81人が死亡しました。
現在の状況と利用可能な情報に基づいて、WHOはすべての加盟国へ、重症急性呼吸器感染
症(SARI)のサーベイランスを継続し、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討するよ
う推奨しています。
医療機関でMERSコロナウイルスに感染するかもしれないため、感染予防・制御を強化し続け
る必要があります。MERSコロナウイルスの感染が疑われる患者や確定患者に医療を提供する
施設では、他の患者や医療従事者、医療機関を訪れる人にウイルスが感染するリスクを減らす
ために適切な対策を行うべきです。すべての医療従事者に対して感染予防・制御に関する教育
と訓練を定期的に実施すべきです。
MERSコロナウイルスの早期発見は重要ですが、特に軽症の場合や、所見が非典型的である
場合など、すべての患者を確実かつ適時に発見できるわけではありません。そのため、MERS
コロナウイルスや他の病原体に感染した疑いがある患者や確定患者の有無にかかわらず、常に、
どの場所でも、すべての患者に対して標準予防策を実施することが重要です。
急性呼吸器感染症の症状のある患者に医療を提供する際には、飛沫予防策を追加すべきで
す。また、MERSコロナウイルスに感染した可能性がある患者や確定患者に医療を提供する際に
は、眼の防護を加えた接触予防策を追加すべきです。エアロゾル(微粒子)が発生するような処
置を行う場合には、空気予防策を行う必要があります。
臨床的にも疫学的にもMERSコロナウイルスの感染が強く疑われる場合には、その患者の最
初の鼻咽頭スワブ(ぬぐい液)の検査が陰性であっても、感染している可能性があるとして管理
すべきです。最初の検査が陰性であれば、再検査を行うべきで、下気道からの検体が望ましい
です。
医療従事者は、引き続き、警戒するよう勧められます。最近、中東から帰国し、SARIを発症し
た患者には、現在のサーベイランスに関する推奨に示されている通り、MERSコロナウイルスの
検査をすべきです。
WHOは、すべての加盟国に対し、MERSコロナウイルスの新たな感染者が発生した際には、
考えられる感染源と臨床経過の情報を合わせて、速やかに評価して報告するよう呼びかけてい
ます。感染様式を確認するための感染源調査は速やかに実施されるべきで、それにより、ウイル
スの更なる伝播を防ぐことができます。
MERSコロナウイルスに感染して重症となるリスクが高い人は、ウイルスが存在する可能性があ
ると知られる農場や飼育小屋を訪れる際に、動物との接触を避けるべきです。一般市民は、農
場を訪れる際に、動物を触る前と触った後の定期的な手洗いを行う、病気の動物との接触を
避ける、食品衛生対策を実施する等の一般的な衛生対策をしっかりと実施すべきです。
WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限するこ
とを推奨していません。

●鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況について(更新30)
2014年3月11日 WHO(GAR)
3月11日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、中国の国家衛生・計画
出産委員会は、3月7日と3月8日、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染したと確定された患
者が4人発生したとWHOに報告しました。
3月7日に報告された患者の詳細は以下の通りです。
・広東省広州市の88歳の男性。2月21日に発症し、3月5日に病院に入院しました。現在の容
態は重篤です。この患者は家きんとの接触歴がありました。
3月8日に報告された患者の詳細は以下の通りです。
・福建省福州市の27歳の男性。2月20日に発症し、2月27日に病院に入院しました。現在の容
態は安定しています。この患者は家きんとの接触歴がありました。
・広東省梅州市の70歳の男性。2月27日に発症し、3月3日に病院に入院しました。現在の容
態は重篤です。この患者は家きんとの接触歴がありました。
・広東省潮州市の76歳の女性。3月1日に発症し、3月6日に病院に入院しました。現在の容態
は重篤です。この患者は家きんとの接触歴がありました。
中国政府は、サーベイランス及び状況分析の強化、患者管理と治療の強化、市民とのリスク
コミュニケーションや情報提供の実施といった対策を行っています。
全体的なリスク評価は変わっていません。
中国から香港に輸入された生きた家きんから鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが検出され
たと報告されており、生きた家きんからウイルスの感染が広がる可能性はありますが、現時点で
は、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが国際的に広がってはいません。しかし、家きんでは、
ウイルスに感染しても症状が出ないため、継続的な監視が必要です。
これまでに鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染した患者が報告された地域及びその近
隣の地域では、今後も患者が散発的に発生することが予想されます。
感染が起こっている国からの感染者が、他の国に滞在中または到着後に発見される場合が
ありますが、人の間でウイルスが容易に感染するものではないので、患者が発見された場合でも
地域レベルで感染が広がる可能性は低いです。ウイルスが効率的に人から人へと感染する能力
を獲得するまでは、渡航者によってH7N9が国際的に広がる危険性は低いままです。
WHOは、鳥インフルエンザが発生している国への渡航者に対し、農場への立ち入りや、生き
た家きんのいる市場での動物との接触、家きんをと殺する場所への立ち入り、家きんやその他
の動物の排泄物で汚染されていると考えられる地表との接触を避けるよう助言しています。また、
渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣を遵守すべきです。
WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限するこ
とを推奨していません。
鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航している者や、その地域から帰国した者が重症の
急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザへの感染を考慮すべきです。
WHOは、重症急性呼吸器感染症のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの
強化を継続するよう求めています。また、国際保健規則に基づき、人の感染例の報告を確実に
行うために、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討し、国の保健に関連した事前計
画の実行を継続するよう求めています。

 ●中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況について(更新7)
2014年3月12日 WHO(GAR)
3月12日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、WHOはMERS(マーズ)
コロナウイルスに感染した確定患者が新たに3人発生したとの報告を受けました。3月11日にアラ
ブ首長国連邦から1人、3月5日にサウジアラビアから2人の患者が報告されました。
アラブ首長国連邦から報告された患者の詳細は以下の通りです。
・アブダビ(Abu Dhabi)の68歳の男性。3月1日に発症し、3月3日に病院に入院しました。現
在の容態は安定しています。この患者には基礎疾患(持病)がありました。MERSコロナウイ
ルスに感染した患者との接触歴はなく、渡航歴もありませんでした。この患者は、農場を所
有しており、毎日その農場に行っており、そこで飼育しているラクダを含む動物との接触歴が
ありました。
サウジアラビアの保健省から報告された患者の詳細は以下の通りです。
・リヤド(Riyadh)の51歳の男性で、基礎疾患がありました。2月28日に発症し、3月2日に病院
に入院しました。この患者は動物との接触歴があったと報告されています。
・リヤドの56歳の女性で、基礎疾患がありました。2月17日に発症し、2月25日に病院に入院し
ましたが、3月3日に死亡しました。
全体として、2012年9月からこれまでに、WHOに報告されたMERSコロナウイルスに感染したと
確定された患者は189人で、このうち82人が死亡しました。
現在の状況と利用可能な情報に基づいて、WHOはすべての加盟国へ、重症急性呼吸器感染
症(SARI)のサーベイランスを継続し、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討するよ
う推奨しています。
医療機関でMERSコロナウイルスに感染するかもしれないため、感染予防・制御を強化し続け
る必要があります。MERSコロナウイルスの感染が疑われる患者や確定患者に医療を提供する
施設では、他の患者や医療従事者、医療機関を訪れる人にウイルスが感染するリスクを減らす
ために適切な対策を行うべきです。すべての医療従事者に対して感染予防・制御に関する教育
と訓練を定期的に実施すべきです。
MERSコロナウイルスの早期発見は重要ですが、特に軽症の場合や、所見が非典型的である
場合など、すべての患者を確実かつ適時に発見できるわけではありません。そのため、MERS
コロナウイルスや他の病原体に感染した疑いがある患者や確定患者の有無にかかわらず、常に、
どの場所でも、すべての患者に対して標準予防策を実施することが重要です。
急性呼吸器感染症の症状のある患者に医療を提供する際には、飛沫予防策を追加すべきで
す。また、MERSコロナウイルスに感染した可能性がある患者や確定患者に医療を提供する際に
は、眼の防護を加えた接触予防策を追加すべきです。エアロゾル(微粒子)が発生するような処
置を行う場合には、空気予防策を行う必要があります。
臨床的にも疫学的にもMERSコロナウイルスの感染が強く疑われる場合には、その患者の最
初の鼻咽頭スワブ(ぬぐい液)の検査が陰性であっても、感染している可能性があるとして管理
すべきです。最初の検査が陰性であっても、再検査を行うべきで、下気道からの検体が望まし
いです。
医療従事者は、引き続き、警戒するよう勧められます。最近、中東から帰国し、SARIを発症し
た患者には、現在のサーベイランスに関する推奨に示されている通り、MERSコロナウイルスの
検査をすべきです。
WHOは、すべての加盟国に対し、MERSコロナウイルスの新たな感染者が発生した際には、
考えられる感染源と臨床経過の情報を合わせて、速やかに評価して報告するよう呼びかけてい
ます。感染様式を確認するための感染源調査は速やかに実施されるべきで、それにより、ウイル
スの更なる伝播を防ぐことができます。
MERSコロナウイルスに感染して重症となるリスクが高い人は、ウイルスが存在する可能性があ
ると知られる農場や飼育小屋を訪れる際に、動物との接触を避けるべきです。一般市民は、農
場を訪れる際に、動物を触る前と触った後の定期的な手洗いを行う、病気の動物との接触を
避ける、食品衛生対策を実施する等の一般的な衛生対策をしっかりと実施すべきです。
WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限するこ
とを推奨していません。


0 件のコメント:

コメントを投稿