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風邪 (Common Cold) | |
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分類及び外部参照情報 | |
A representation of the molecular surface of one variant of human rhinovirus.
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ICD-10 | J00.0 |
ICD-9 | 460 |
DiseasesDB | 31088 |
MedlinePlus | 000678 |
eMedicine | med/2339 |
MeSH | D003139 |
目次[非表示] |
概要 [編集]
風邪の定義は、医学書によって様々であるが、風邪とは、主にウイルスの感染による上気道(鼻腔や咽頭等)の炎症性の疾病に掛かった状態の事であり、咳嗽、咽頭痛、鼻汁、鼻づまりなど局部症状(カタル症状)、および発熱、倦怠感、頭痛など全身症状が出現した状態のことである。西洋医学的には「風邪症候群」と呼んでいることが多い。通常鼻汁は風邪の初期はさらさらとした水様で、徐々に粘々とした膿性に変化する。だが全身症状がことに強く、時に重症化する。俗称として、消化管のウイルス感染によって嘔吐、下痢、腹痛などの腹部症状と上記全身症状を来した状態を、「感冒性胃腸炎」「お腹の風邪」(もしくは胃腸かぜ、一部地方では腸感冒)と呼ぶこともある。
「風邪」の語源は中国医学にある。中国医学における風の邪気、すなわち「風邪」(ふうじゃ)によって引き起こされる、発熱や寒気等の症状を来す病名としての概念が日本に伝わっているが、中国医学の定義は前述の定義と異なっている。
俳句では冬の季語として扱われる。
医学的な定義と他の疾患との区別 [編集]
医学的な定義は文献によって異なっている。風邪(かぜ)は急性上気道炎と称する[要出典]、としている文献もある。いわゆる「風邪(風邪症候群)[要出典]」としている文献は多い。急性上気道炎、急性鼻咽頭炎、急性咽頭蓋炎までふくめる[要出典]、とする文献もある [1]。「主にウイルスの感染による上気道(鼻腔や咽頭等)の炎症性の病気で、咳嗽、咽頭痛、鼻汁、鼻づまりなど局部症状(カタル症状)、および発熱、倦怠感、頭痛など全身症状が出現した状態を指し、このことから上気道感染とも呼ぶ」[要出典]とも。
風邪の多様な症状は、様々な病因によって発生し、稀には性病として知られる淋病が、喉粘膜に発生する事によっても、風邪によく似た症状が出る。
病因・症状 [編集]
- 以下のものは成人についてのものであり、乳幼児、高齢者、ぜんそくその他のハイリスクの病態のある者には当てはまらない。
症状は、「風邪症候群」と表現されるように、微熱、頭痛、発熱、悪寒、鼻汁の過分泌、咽頭痛、咳、声枯、食欲不振、下痢、嘔吐など。
空気は鼻前庭から鼻腔、咽頭、喉頭、器官、気管支、肺胞へと導かれる。この鼻前庭から咽頭までを上気道と称する。[要出典]この時、大気中の微生物が侵入して上気道で急性感染症が発生したものを風邪(「急性上気道炎」)と称する[要出典]。
治療法 [編集]
急性期 | 亜急性期 | 回復期 | |
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丈夫 | 西洋薬 | (自然治癒が多い) | |
ふつう | 西洋・漢方を併用 | 漢方薬 | |
虚弱 |
東洋医学と西洋医学とでは、健康や病気に関する考え方が異なる部分が多く、風邪の場合の予防法・治療法にも差異が見られる。
東洋医学の治療法 [編集]
現在の日本では、医師免許のための試験は西洋医学の知識が問われる内容になっているので、日本で東洋医学の治療法を行なっている医師らは、西洋医学の知識・経験に加えて東洋医学の知識・経験を身につけた医師たちである。例えば富山医科薬科大学、東京女子医科大学などが、漢方または東洋医学の講座を設けており[3]、それらの講座で学んだ医師などが、日本各地で東洋医学を実践している。東洋医学において風邪にもっともしばしば用いられる処方の流れを以下に示す[4]。
急性期・亜急性期には西洋医薬との併用が有効である[6]。
小児の場合 [編集]
東洋医学において、小児がかぜをひきにくくなる、というのは、体の免疫機能が高められていることを意味する。かぜをひきにくくする、ということは虚弱体質の改善と関係があると考え、次のような漢方処方が代表的なものだとも言われている[3]。- 小柴胡湯(しょうさいことう)[3]。 漢方で「和剤」と呼ばれるもののひとつで、口の粘り、食欲不振、疲れやすさ、熱っぽさなどの、(西洋医学で言うところの、いわゆる)「不定愁訴」に対してよく用いられる[3]。
- 葛根湯(かっこんとう)[3]。薬方中の麻黄はエフェドリンを含み、ときに消化器障害、興奮などをおこすことがあるが、小児の場合、成人にくらべて麻黄によく耐えるということが経験的に知られており、(成人に比べれば)神経質に考えなくてもよい。ただし、あまりに胃腸の弱い小児には使用しないほうがよい。
高齢者の場合 [編集]
- 葛根湯[7]
- 小柴胡湯[8]
- 香蘇散(こうそさん)[8]。元来、虚弱体質の人の風邪が適応だが、老人の場合一見頑強に見えても抵抗力は低下していることが普通なので、60歳以上であれば、体質を選ばず使用してよいと思われる、と大塚恭男は述べている。いつも風邪をひいていると訴える人や、鬱状態をともなっている人には、平素から服用してもらうことで風邪の予防になると大塚恭男は述べている[8]。
- 真武湯(しんぶとう)。風邪をひいても、あまり高熱が出ず、たかだか微熱程度で、悪寒があり、体がだるくて起きていられないような場合に使用する[9]。
- 竹筎温胆湯(ちくじょうおんたんとう)。比較的体力の低下した人の長引いた呼吸器症状が対象であるが、老人の呼吸器疾患には一般に使用してよいと思われる、と大塚恭男は述べている[9]。さらに、この薬方(処方)には温肝湯のニュアンスもあるので、不安・不眠といった精神症状の要素も対象となっている[9]。
西洋医学の治療法 [編集]
西洋医学系の医師は、個々の症状を緩和する薬(対症療法)を採用し、総合感冒薬や解熱剤、咳止めなどの薬を、複数処方することが多い(主にパラセタモール(アセトアミノフェン)やアスピリン、イブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)を処方することが多い。昇圧薬としてはフェニレフリンなどのアドレナリン作動薬などが含まれるものもある)。昨今は西洋医学系の医師の中にも漢方薬の良さを理解し「葛根湯」「小青竜湯」「麻黄湯」などを薬効に応じて処方する医師も増加している。民間療法薬の種類 [編集]
あまり適切とは言えない処置 [編集]
抗生物質と抗ウイルス薬 [編集]
抗生物質はウイルス感染症には効果を示さない。風邪はウイルスによって引き起こされるため効果が無い[10] 。 その副作用のため有害であるにもかかわらず、未だに頻繁に処方されている。[10][11] 処方してしまう理由には、人々の抗生物質に対する期待、薬屋の需要、処方に対しての空気など複雑に絡み合う事情が一般的であるとされる[12] 。 風邪に対しての抗ウイルス薬の処方は効果が無いが、いくつかの予備試験ではベネフィットが示されている。[13][14]抗生物質 [編集]
風邪というとすぐに抗生物質を処方する医者も多いが、多くの場合、風邪の原因はその多くがウイルスであるので、細菌を対象とした抗生物質は効果がない、と(医師・医療関係者の集団の)メディカルブレインや (元医学部教員の)米山公啓らによって指摘されている[15][16]。実際、抗生物質を飲んでも飲まなくても、風邪をひいている期間は同じだという調査結果がある[15]。"抗生物質が、風邪をひいている期間を短くする"などという科学的論文は存在しない[15]、つまり、普通の風邪であれば、結局、抗生物質を飲まなくても治っているのであり[15]、患者は薬で風邪を治しているつもりでも、実際に風邪を治しているのは、人体が本来持っている自然治癒力なのである[15]、と米山は述べている。
どうして風邪に抗生物質がやたらと使われるかと言えば、その答えは医者が「儲かるから」である[16]、とメディカル・ブレインによって指摘されている。
(医療現場で行われている悪慣行に一石を投じる形で、ようやく)2003年6月に、日本呼吸器学会が、成人気道感染症の指針のなかに、「風邪への抗生物質はできるだけ控えるべき」と明記した[17]。2004年5月の改訂版では「風邪に抗生物質は無効。細菌性二次感染の予防目的の投与も必要ない」とした[18]。それにもかかわらず、臨床の現場では、風邪に抗生物質が処方されている、この傾向はアメリカでも同様である、と米山公啓は2005年出版の本で指摘した[19]。
例外を言えば、風邪をこじらせた結果 細菌性の肺炎や気管支炎になってしまった場合は抗生物質は意味がありはする、だがそれ以外は使っても無駄かむしろ有害であり、「これは抗生物質ですから、○○○の症状が出た時だけ飲んでください」とはっきりと伝えて処方するならばともかく、ただ、「一日何回飲め」というのでは、わざわざ抗生物質の副作用を出させているようなものである[16]、と指摘されている。抗生物質も人体に害を及ぼす面があるのであり、これについて説明すると、我々の体の中では常在菌と呼ばれる細菌が共存共栄しているが[16]、抗生物質を飲むとこれらの細菌のバランスが崩れてしまい、大腸炎になり下痢をしたり[16]、ひどい場合には偽膜性大腸炎で血便が混じることもあり[16]、(女性の場合に多いが、抗生物質の影響で)カンジダと呼ばれるカビが増えて膣炎を起こしドロドロの液体が膣から流れ出ることもある[16]、と指摘された。また、安易な抗生物質使用は耐性菌を出現させるばかりであるので、細菌感染であることが明確な時にのみ使用すべきであるともされている。風邪でやみくもに抗生物質を処方する医者は考えものである(藪医者)[16]、とメディカルブレインよって指摘されもした。
解熱剤 [編集]
いわゆる風邪薬というのは症状の緩和させるもの(つまり対症療法を行なう薬)であるが、これが、治癒に関してはむしろ逆効果になっている場合がある。発熱は一種の生体防御反応であり、人体というのは、あえて体温を高めることで免疫力を上げているということも明らかになってきている。例えば、白血球は、病原菌に対する貪食(どんしょく)・殺菌能などを有しているが、その白血球は、体温が平熱よりも1度下がると30%以上 働きが低下し、逆に平熱より1度上昇すると5 - 6倍の働きをするということが明らかになった[20]と石原結実は述べている。西洋医学系の医師の多くは、対症療法を採用し、患者の体温が多少上昇するだけでも、すぐに解熱剤を処方してしまうことが多い。だが、これが不適切で、免疫の働き(自然治癒力)を低下させて風邪を長引かせている可能性がある、と指摘されているわけである。
ただし、体温の上昇が極端に激しい場合は例外であり、危険回避のために解熱剤を使用することは正しい。また、幼児や児童などの場合は、体温の上昇には大人以上に注意を払う必要がある。
また、解熱剤には副作用として「脳炎」を発症することもあり、使用には慎重を期すべきである。
病原体(病因) [編集]
- ライノウイルス
- 鼻がくずれる、普通感冒といわれている。
- くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが主症状で、年齢を選ばない。
- アデノウイルス
- 夏に流行。プールで感染するプール熱として知られる。
- パラインフルエンザウイルス
- インフルエンザという名称が入っているが、インフルエンザウイルスとは別のウイルスである。
- 喉頭と下気道を起こしやすい。子供がかかる場合が多い。
- RSウイルス
- 気管支炎や肺炎を起こしやすい。乳幼児は重症になる場合もある。春と夏の感染が多い。
- コロナウイルス
- 冬に感染しやすい。SARSはコロナウイルスの新種と言われる。
- エコーウイルス
- エンテロウイルス
- 下痢を起こしやすい。夏に流行する。
- マイコプラズマ
- オリンピック熱として知られる(繁殖周期が四年なため)。肺炎を起こしやすく「マイコプラズマ肺炎」とも呼ばれる。
- インフルエンザウイルスC型
- 毒性が弱いことから、インフルエンザウイルスCは風邪と判断される場合が多い(A・B型についてはインフルエンザを参照)。
鑑別疾患 [編集]
「風邪は万病の元」と言われるが、あらゆる疾患の初期症状は「風邪」として片づけられることも多く見られる。このため、数日で軽快しない場合は、「あらゆる疾患」が鑑別にあがる。 以下にあるのはその一部分である。- 経過が長いもの (正しい診断にいたるまで時間がかかることがある)
感染経路 [編集]
病原体の感染経路には、以下の3種類がある。- 空気感染(飛沫核感染)は結核、麻疹、水痘などの病原体が直径5µm以下の微小飛沫核となって長時間空中を浮遊し、空気の流れによって広範囲に伝播される感染様式で、空調設備のある個室への隔離や特殊なマスク(N95マスク)の着用が必須とされる。
- 飛沫感染はインフルエンザ、風疹、マイコプラズマなどの病原体が咳、くしゃみ、会話などで直径5µm以上の飛沫粒子となって飛散し、約1m の距離内で濃厚に感染を受けるもので、通常のマスク装着による飛沫予防策も有効とされている。
- 接触感染はいわゆる風邪、MRSA、O-157、赤痢、急性下痢症、A型肝炎などで見られ、感染源との接触した手・体による直接接触、或いは患者に使用した物品や環境表面との間接接触によって成立する。手洗いの励行は勿論、病原体に応じて手袋・ガウンなどの使用、聴診器など器具の共用禁止、消毒薬の使用、個室隔離など、様々な接触伝播経路における予防策が必要となる。
風邪の予防法 [編集]
次のようなことは一般に広く言われている。- 手洗い。自宅でも外出時でも、他の人が触れたものに触れた場合は、手を石鹸でよく洗う。また、目や鼻や口に手を付けない。
- うがい。口の中の菌をすすいでから、のどをすすぎ、再び口の中を漱ぐ。
- マスクの着用。(ウイルスが直接に口中に飛び込むことを防止する。同時に喉や鼻の奥の粘膜の乾燥を防ぎ、そこでのウイルス増殖を抑制する。)。不特定多数の者が密集する場所、例えば電車内やバス、学校や職場などで風邪を患っているもマスクを使用していない者に対して、マスク着用を促す事は集団感染を防ぐ意味でも非常に有効である。
- 乾燥を防ぐ。喉の保湿、菌の活動を抑える。
- 体力。充分な休養をとり、体力をつける。体温を保つ。(免疫・自然治癒力を働かせる)
- 身体が必要としている栄養素をとる。
- 喫煙やその受動喫煙を避ける。
手洗いについては、外出からの帰宅時には、自宅の家具などに触れる前に念入りに手洗いを行い、家外から持ち帰ったウイルスを屋内の家具、寝具、食器などに付着させないことが勧められている。これを行なうだけでも、感染率が減る。
うがいも念入りに行なうこと。水やぬるま湯で行なうだけで十分に効果的である。うがい薬を用いることが勧められる場合もあるが、ヨード入りのうがい薬などを使うとかえって風邪予防の効果が低下する、との調査結果もある(→うがいで参照可)。まれに、書籍や番組によっては、のどのうがいを行なうだけでなく、"鼻うがい"も同時に行なうのがよい、としていることもある。鼻うがいとは、コップなどに水やぬるま湯を入れ、それを鼻(の穴)にあてがい、軽く鼻から息を吸い込む要領で水を吸いいれ、鼻腔を洗浄(鼻腔の粘膜に付着したウイルスを洗いながす)こと。
マスクを着用する。 自分自身は風邪をひいていない段階で、先手を打ってマスクをしておくことも有効だと言われている。ウイルスが直接に口中に飛び込んでくることを防止できる他に、マスクが適度に湿ることにより、のど奥の粘膜が乾燥することを防ぎ、それが結果として(仮にウイルスが口中に飛び込んでも)ウイルスの極端な増殖を防ぐためだと言われている。
また上気道のカタル症状に気付いた段階でも、マスクを常時着用し、気道粘膜が冷えたり乾燥したりしないようにする(気道粘膜の感染防御能保護の為)。 [21]
病原体に対しては、皮膚や粘膜が物理的防壁として、涙、唾液、咳、排尿、排便などが生理的排出機構として、更には免疫機構が重要な役割を演じている。根本的な風邪薬が無い現在、これら自然に備わった感染防御機構をいかに上手に働かせるか、が重要となる。[要出典]
民間療法 [編集]
風邪に対する民間療法には様々なものがあり、中には相矛盾するものもある。一般的には免疫活動を活発化させると良いと考えられているが、必ずしもそれに繋がらないものもある。- ネギ
- 縦に切り込みを入れ、軽く焼き、手ぬぐいなどにくるんで喉に巻く。(だが実際は外からの効果はなく、その臭いなどが鼻やのどの粘膜に少し作用し、息苦しさを和らげたりする)
- 適当な長さに切って坐薬として使用する。
- 辛味成分には発汗作用があり、食用としても効果がある。
- ニラ
- その高い栄養価と胃腸に優しいという点から、雑炊の具などによく利用される。
- しょうが湯
- お湯を注いですぐに作れるタイプも市販されている。体を温め、喉の痛みや咳に効果を発揮する。ハチミツレモンしょうが湯(ginger tea with lemon and honey)は、風邪のときに海外では、よく利用され市販されているタイプもある。
- 葛湯
- 葛粉を水に溶いて加熱して飲む。風邪の漢方薬の代表である「葛根湯(かっこんとう)」は葛の根が主成分である。
- 蜂蜜大根
- さいの目に切ったダイコンを蜂蜜に一晩程度漬け、そのシロップを飲む。喉の症状を抑える根菜。
- 果物
- ビタミンCが多いみかんやレモン。また栄養源としてバナナ。またそのジュースなど。高熱でつらい状況を緩和する。リンゴジュースが果糖や各種ビタミン・ミネラルを含有する事から。大日本果汁株式会社(現在のニッカウヰスキー株式会社)が、国産初の果汁100%リンゴジュースを生産したが、あまり売れなかったため、その栄養価を宣伝した事による。その価格ゆえに日常の飲料としては普及しなかったが、風邪の民間療法としてリンゴジュースの飲用が普及し、家庭でリンゴを絞って手作りする場合もあった。ちなみに実際にはリンゴジュースは、少なくともビタミンの含有量はさほど大きい訳ではない。
- カリン
- 喉の症状を緩和させる。
- キンカンの甘露煮
- 数個を湯に漬け、飲用する。
- 卵酒
- 日本酒、卵、砂糖をかき混ぜ、湯煎にかけて卵が固まらない程度に温める。手軽にやるには燗をつけた酒に溶き卵を加えながらかき混ぜる。生姜の絞り汁を加えると体の保温効果が高まり、より有効である。日本国外でもワインやホットウィスキーに卵を加え、蜂蜜などを使ったエッグノッグという飲み物が風邪を引いた際に用いられている所がある。ただし、アルコールを含むため市販の風邪薬と併用してはならない。特に、多くの市販薬に含まれている解熱鎮痛成分:アセトアミノフェンはアルコールと併用すると肝臓に強い毒性を示す。長期間に渡って併用した結果死亡した事例もあるため特に注意が必要である(詳しくはアセトアミノフェンを参照)。
- ミルクセーキ
- 生卵と牛乳をよくかき混ぜて作るミルクセーキは、卵の良質なタンパク質やビタミンを美味しく手軽に摂取できる。とくに解熱剤などによって胃腸が弱ったときの重要な栄養源となる。場合によって砂糖などで調味する。
- 陳皮
- みかんの皮を十分に乾燥させたもので漢方薬として用いられる。自宅でもよく洗ったみかんの皮を十分に乾燥させて作ることができる。それを細かくして煎じて飲む。喉から来る症状によく効く。また、みかんの中身は水分とビタミンCが豊富なので、捨てずに食べる。薄皮は消化機能が低下している場合は、消化不良となってしまうこともあるので、注意する。
- 風呂に入る(日本)
- 初期において、体温を上げて免疫を強くする。短時間にとどめ、すぐ布団に入り、体力を集中させる。
- 風呂に入らない(日本)
- 最新医療では、発熱が無ければ風呂に入っても良いとされる。ただし、湯冷めを避けるため、浴室及び脱衣室の十分な保温が必要である。また、長時間の入浴は体力を消耗するので、短時間にとどめるべきである。
- 体を冷やす(西洋)
- 解熱鎮痛を目的とし、氷を浮かべた水風呂に入ると効果的とされるが、全身を冷やすことは体力の低下に繋がる。高熱が続くようなら腋下、内股などを冷やすと効果的。ただし、頸動脈を冷やすと冷やされた血が脳に流れ込み悪影響を与える可能性があるので、注意が必要である。
- とにかく体を温める(日本)
- 実際は悪寒を感じたときに温めればよく、暑く感じているときまで温める必要はない。体感に見合った対応をするのが一番である。
- 水分を取る
- 汗をかくので水分を大量に取る。風邪をひくと体温が上がり、目に見える形での汗は減少するが、皮膚からの水分喪失の主体である不感蒸泄は増加する。電解質を補いながらの水分補給は必要である。ただし心不全や腎不全を持つ危険のある高齢者の場合は、過剰にならないように注意する必要がある。
- チキンスープ
- 欧米では鶏肉と野菜を煮込んで作ったチキンスープが風邪に効果があると信じられており、いまでも民間医療としてよく用いられる。この説は古く、12世紀にはすでにユダヤ人のモーシェ・ベン=マイモーンによって記されていた。チキンスープはまだ科学的に効果が立証されたわけではないが、温かく栄養に富んだスープは患者に体力をつけるのに役立つとされている。
- ビタミンCサプリメント
- ビタミンCが風邪を予防するという説をはじめて大々的に広めたのは、ノーベル化学賞を受賞したライナス・ポーリングであった。1970年に出版されたポーリングの著書『ビタミンCと感冒 (Vitamin C and the Common Cold)』はベストセラーとなった。現在では、ビタミンCはとりわけ子供や疲労した大人の風邪の予防に一定の効果があることがわかっているが、万人に効果があるわけではないとされている。また一部の科学者からは、ビタミンCは体内でシュウ酸を生じさせるため、過剰摂取すると胆石の発生につながるという危険性が指摘されている。
- 梅干し
- おかゆを食べるときの定番のおかずだが、風邪に対する効果も高い。
- モモ缶
- モモの果肉をシロップに漬けた缶詰を食べる。療法というよりも、見舞い品として多く用いられることから。
風邪はうつすと治るという迷信 [編集]
日本において古くから言われている民間伝承(または迷信)。病原体が感染してから発病するまでを潜伏期間と呼び、風邪がうつっても1 - 3日ほど自覚症状は殆ど現れない。また高熱など全身症状が強いインフルエンザとは異なり、いわゆる風邪は発病しても数日で治ってしまう。従ってうつした者が快方に向かう頃に、うつされた者が発病することから、いわゆる「風邪はうつすと治る」という迷信が広まったと考えられる。
予後良好の風邪でも、肺気腫など慢性呼吸器疾患患者にうつした場合、或いは肝硬変や糖尿病、エイズなど免疫力の低下した者にうつした場合、現疾患或いは風邪症状が急に増悪することがあり(参照:日和見感染)、「かぜは万病のもと」ということもあり、充分な配慮が必要である。
脚注 [編集]
- ^ ただし、インフルエンザ(流行性感冒)やマイコプラズマ肺炎等までを言う場合もある。多くの場合単に風邪と言えば急性上気道炎(普通感冒)を指し、それ以外を風邪と呼ぶことは少ない(ただしインフルエンザであるか普通感冒であるかが判明している場合のみ)。インフルエンザについては風邪と呼ばれることも多いが、急性の全身症状を問題視する人は、「インフルエンザを風邪と呼ぶべきではない」と警鐘を発している。ただし、インフルエンザであるか普通感冒であるかは、症状からは区別がつきがたい場合も多い。
- ^ 日本医師会 1992, p. 40.
- ^ a b c d e 大塚恭男 1996, p. 176.
- ^ a b c d 日本医師会 1992, p. 37.
- ^ 日本医師会 1992, p. 36.
- ^ 日本医師会 1992, pp. 39-40.
- ^ 大塚恭男 1996, p. 158.
- ^ a b c 大塚恭男 1996, p. 159.
- ^ a b c 大塚恭男 1996, p. 160.
- ^ a b Arroll B, Kenealy T (2005). Arroll, Bruce. ed. “Antibiotics for the common cold and acute purulent rhinitis”. Cochrane Database Syst Rev (3): CD000247. doi:10.1002/14651858.CD000247.pub2. PMID 16034850.
- ^ Eccles Pg.238
- ^ Eccles Pg.234
- ^ Simasek M, Blandino DA (2007). “Treatment of the common cold”. American Family Physician 75 (4): 515–20. PMID 17323712 .
- ^ Eccles Pg.218
- ^ a b c d e 米山公啓『自然治癒力のミステリー』法研、1998、 ISBN 4-87954-188-5、 p.10
- ^ a b c d e f g h メディカル・ブレイン『ヤブ医者の見分け方』データハウス、1992、pp.28-33
- ^ 米山公啓『医学は科学ではない』p.25
- ^ 米山公啓『医学は科学ではない』p.25
- ^ 米山公啓『医学は科学ではない』p.26
- ^ 石原結実『東西医学』講談社、p.86
- ^ 感染形態として飛沫感染をするインフルエンザの場合でも、病初期には風邪と同様の症状を呈するので、早めのマスクの着用は重要である。
参考文献 [編集]
- 大塚恭男 『東洋医学』 岩波書店〈岩波新書〉、1996年6月。ISBN 4004304482。
- Ronald Eccles, Olaf Weber (eds) (2009). Common cold (Online-Ausg. ed.). Basel: Birkhäuser. ISBN 978-3764398941 .
- 古西満「日本呼吸器学会成人気道感染症診療の基本的考え方」、『日本胸部臨床』第63巻、2004年、 NAID 50000083366。
- 玉置淳. 急性上気道感染症 治療法ガイドライン (Report). 特定非営利活動法人 標準医療情報センター .
- 日本医師会 『漢方治療のABC』 医学書院〈生涯教育シリーズ, 28〉、1992年。ISBN 4260175076。
関連項目 [編集]
外部リンク [編集]
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